サイエンスアゴラ2022のテーマ 「まぜて、こえて、つくりだそう」を考える
日本の自然にとって「まぜて、こえて」というと、外来種を思い浮かべる人がいると思います。
生物多様性保全協会では、外来種とサイエンスアゴラのテーマとの親和性について考えてみました。
【こえる】について考える
<こえてくるを防ぐ。こえて防ぐ。>
我が国は、四方を海に囲まれ、四季があることなどにより、日本固有の生物・生態系が豊かに育まれてきました。この豊かな自然に対する脅威の一つに、域外から「こえて」侵入する「外来種」が挙げられます。
生物は、生息できる環境があれば、都道府県や市区町村の境界は関係なく、自由に「こえて」移動し、生息域を広げていき、ひとたび侵入するとその地域固有の動植物が様々な被害を受けることになります。そのために、「こえてくる」外来種を防ぎ、地域固有の「種の多様性」を守ることが求められています。
「こえてくる」外来種を防ぎ地域固有の種を守るためには、人々が地域的な境界だけでなく、様々な境界を「こえて」連携することが必要です。
こえさせてはいけない:アカミミガメ、オオクチバスなど全ての外来種
【まぜる】について考える
<まざる防ぐ。みんなで防ぐ。>
同じ種でも地域により形質が異なることがあります。これを遺伝子の多様性と呼んでいます。
外来種は、地域に侵入することにより、そこに生息する同種の在来種や近縁種と交配することがあります。在来種との交配は、雑種を生み、地域固有の種の遺伝子に撹乱をもたらすことになります。交配による雑種の誕生は、不可逆的な移行であり、繁殖力の強い外来種が地域に「まざる」と、雑種は指数関数的に増加し、地域固有の遺伝子はやがては消滅してしまいます。
外来種の「まざる」を防ぎ、地域固有の遺伝子を守るためには、行政機関とともに外来種の研究者、防除活動を行っている市民団体など、様々な人々が「まざり」合い、連携し、知識と経験を共有して対応することが必要です。
混ぜてはいけない:オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオ
【つくりだそう】について考える
<陸と海の豊かさを守るために新しい「自然」を創りだす。>
我が国の主要な都市近郊には、快適な生活空間の出現と引き換えに、原生の自然はほとんど残っていません。多くの外来種の侵入が主に人間の活動に起因するため、都市近郊の野生の植物の多くが外来種であり、動物も都市近郊や郊外で多くの外来種が分布しています。
豊かな自然が少なく、外来種が分布する都市近郊において、失われた地域の自然を「つくりだす」ことが求められています。かつては生物の生息空間として各地で「学校のビオトープ」が作られました。また、近年、都市近郊や面的な開発事業において、自然の再生手法として、地域の在来植物による緑化工法が採用されています。
SDGsが掲げる陸と海の豊かさを守るため、新しい視点で地域の自然・生態系を「つくりだす」ことが必要です。
つくりだす新しい自然の姿:一緒に考えましょう!
「わたしの声2022」
期間:令和4年10月26日(水)〜11月30日(水)まで
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